2019年8月12日月曜日

『太陽にほえろ!7周年記念名場面集2』



 前巻から3年後、79年発売の『太陽にほえろ!7周年記念名場面集2』(日本テレビ放送網編/小西康夫撮影)。ちょうど全体の半分の時期ですな。今巻では76年5月放送の第201話「にわか雨」から79年7月放送の第363話「13日金曜日・ボン最期の日」までを収録。カラー&モノクロ構成は変わらず、ページ数増の全94ページ。





 この間は、テキサスの殉職(番組史上最高の視聴率42.5%)→城北署より滝隆一(スコッチ)の着任→スコッチの山田署への転任→本庁レスキュー隊より木之元亮氏演じる「岩城創(ロッキー)」の着任→ボンの殉職。

 テキサス亡き後に着任したスコッチは、「非情な刑事」として、チームワークが信条の一係に波風を立てるものの、最後は元来の優しい刑事として、「殉職」ではなく、「転任」という形で去って行きます。出演期間が半年なのは当初からの決定事項で、その後も何度か助っ人として登場し、第399話「廃墟」で七曲署に再び復帰。元レスキュー隊員のロッキーは、ボンのアパートに転がり込み、2年近くボンと同居。また、長谷直美氏演じる交通課婦警の「早瀬令子」がセミレギュラー入り。覆面車にパトライトが装備されたのもこの時期です。

 この時期で印象深いエピソードと言えば、まず第204話「厭な奴」。それまでの人生、全て安全な選択肢を選んで生きてきた冴えない初老の男が、殺人犯のアリバイ工作を手伝う一世一代の大勝負に出るという役を、伊藤雄之助氏が誠実な芝居で演じ、また、怒りっぽいが涙もろいゴリさんの人情味も溢れるエピソード。

 第305話「勲章」。ゴリさんの大先輩である定年間近の城南署巡査役に高品格氏。警察官としての意地と誇りを持つ一方、退職後の生活の不安という葛藤に悩む役どころ。この回は事件の目撃者役に『パトレイバー』の後藤隊長役の大林隆介氏(当時は大林直樹名義)が出演。大林氏は第354話「交番爆破」他でも何度か登場しており、『パト』ファンとしては嬉しい。


 第269話「みつばちの家」。若者と老人が共同で暮らす、今で言うシェアハウスの中で、自分の居場所を見つけられず、知らずに麻薬取り引きの仲介人として利用されてしまう老人役を、味のある加藤嘉氏が熱演。加藤氏は第113話「虫けら」でも同様に味のある浮浪者役を演じています。ボスの「夢の様な綺麗な生活ほど、いざとなると脆い」という言葉が印象深い。

 第301話「銀河鉄道」。友達の後追い自殺をしようとする少年に対し、「子供」ではなく「1人の人間」として涙を浮かべながら説得する山さんの迫真の演技。「みつばちの家」も「銀河鉄道」も、高齢化問題や子供の自殺問題と、当時の社会問題を扱ってますが、今現在も同じ問題が解決されていない事を思うと、問題を先送り先送りにしている社会、そして、解決の難しさが分かりますな。


 『太陽』の面白さはいくつかあるんですが、そのひとつは「名優」と呼ばれる(僕にとっては)昔の俳優さん達の迫真の演技。設定なんかは今のドラマと比べれば大雑把かもしれないけど、それを超える芝居が毎週見られるってのは、ある意味すげー贅沢な事で、これはレギュラー陣もゲストも同じなんですが、「本物」なんですよね。金曜20時というゴールデンタイムのため、性犯罪だけは扱わなかった(これがショーケンには不満だったらしい)代わりに、どれも真正面から視聴者に訴えかける。カーアクションもスピンターンや軽い車同士のぶつかり合いはスタントマンを使わず、役者自身がこなしていたっつー、今じゃ考えられないですな。

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