2019年8月14日水曜日

『太陽にほえろ!名場面集4』



 さてさて、『名場面集』の話も後半戦。前巻からまた2年後、84年発売の『太陽にほえろ!名場面集4』(日本テレビ放送網編/小西康夫撮影)。今巻では82年1月放送の第491話「ドックのうわごと」から83年12月放送の第583話「三人の未亡人」までを収録。全92ページ。






 この間は、スコッチの殉職→三田署より三田村邦彦氏演じる「原正之(ジプシー)」着任→ロッキーの殉職→長さんの警察学校への転任→大神島署より世良公則氏演じる「春日部一(ボギー)」着任→ゴリさんの殉職→河南署より地井武男氏演じる「井川利三(トシさん)」着任→ジプシーの西多摩署への転任→七曲署交通課より「岩城令子(マミー)」の転属→警察学校より又野誠治氏演じる「澤村誠(ブルース)」配属。

 毎回「激動」と書いてますけど、長さんとゴリさんというオリジナルメンバー2名が僅か1ヶ月の間に姿を消し、残ったのは山さんだけという最も激動だった時期。「これで『太陽』も終わりかー」と思いきや、ボギーはマカロニ、ブルースはジーパンを意識したキャラクター作りで、脚本もリメイク作が散見され、オープニング曲も元に戻る原点回帰。また、三田村&渡辺&神田の三氏による「ミワカントリオ」が若い女性層に人気を博し、更に世良氏の加入で「カワセミカルテット」と呼ばれ、第2期黄金時代となります。こういうところがロングランのお化け番組たる所以だなぁ。

 この時期、特に82年は、3名が去ったエピソードは外せず。第493話「スコッチよ静かに眠れ」。躁鬱病により欠場が続いていた沖氏の直近での回復が見込めないため、本人から「ケジメをつけて殉職したい」との申し出もあり、古傷が悪化しながらも拳銃密造組織を追い、犯人逮捕直後に吐血。最期は「病死」という形で降板します。抗鬱剤の影響からスマートだった体型も殉職時には太っており、降板後も病に苦しんだ沖氏は、スコッチ殉職から1年後の翌83年、ビルの屋上から飛び降り、31歳の若さで亡くなりました。

 第520話「野崎刑事、カナダにて最後の激走」。一係の最年長、足と粘りの捜査で第1話からベテランの味を活かしてきた長さん。前編の第519話「岩城刑事、ロッキーにて殉職」でロッキーが死亡。その犯人を追い、長さんがカナダの大地を走りに走ります。犯人逮捕後、ボスに「ロッキーの様な優秀な警察官を1人でも多く育てたい。それが、遺された自分がロッキーにしてやれるただひとつの事だと思いまして…」と溢れる涙を堪えながら、警察学校の教官への転属を申し入れます。苦楽を共にしてきた山さんもまた必死に涙を堪えつつ、声にならない2人のベテランの握手で涙腺崩壊。その後、長さんは何度かゲスト出演し、『PART2』では再び一係に復帰します。尚、ブルースは長さんの教え子。

 第525話「石塚刑事殉職」。初の90分拡大放送。番組当初からの三大暴力団のひとつ「戸川組」のヘロイン密売ルートを暴き、組を潰す事に成功したゴリさん。が、署に連絡を入れに行くすがら、自ら逮捕したヘロイン中毒の男に背後から銃弾を受け、更に相手が撃った銃弾の全てが命中。拳銃の名手だったゴリさんが凶弾に倒れるという悲劇。駆けつけたボスと婚約者が救急車に乗り込みますが、ボスに「この街を頼みます」との言葉を遺し、息を引き取ります。救急車の後に続く一係の覆面車。救急車が止まり、出て来たボスが無言で首を横に振る。一係の刑事達は全員で「戻って来い」と言わんばかりに泣きながらクラクションを鳴らし続けます。たぶん、僕が生まれて初めてテレビや映画で泣いたのが、このエピソード。そら泣きますよ。今見ても泣きます。


 殿下役の小野寺氏やゴリさん役の竜氏は「このままでは刑事の役以外できなくなるのではないか」と思って降板したんですが、近年では「殉職しなきゃよかった」と事ある度に笑いながら語っています。一方、長さん役の下川氏は晩年、「自分だけが生き残ってしまった」と殉職したかった旨を語っていました。

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