どうも、『太陽』ブログです。ちょうど折り返し地点です。つーわけで、前巻からまた3年後、82年発売の『太陽にほえろ!名場面集3』(日本テレビ放送網編/小西康夫撮影)。今巻では79年7月放送の第364話「スニーカー刑事登場!」から82年1月放送の第490話「われらがボス」までを収録。全92ページ。ちょっとカラーページが増えた。
この間は、城南署より山下真司氏演じる「五代潤(スニーカー)」着任→山田署よりスコッチが復帰→殿下の殉職→本庁捜査一課より神田正輝氏演じる「西條昭(ドック)」着任→ロッキーと令子の結婚→ボスの長期欠場→スコッチの欠場→スニーカーの退職→城南署派出所より渡辺徹氏演じる「竹本淳二(ラガー)」着任→ボスの復帰と、これまた激動。8年間使われたオープニング曲も、スニーカーの登場に合わせて変わりました。
でもって、まずは第414話「島刑事よ、永遠に」での殿下の殉職。いや、殉職回は除くつもりだったんですが、オリジナルメンバーの中では初の殉職者であり、8年間も番組を支えてきた殿下の死は、当時の幼心にもかなりショックだったので。小野寺氏の「他の刑事と違い、あっさり死にたい」という要望で、犯人逮捕後、車で署へ戻る途中、対向車線から向かって来た暴走トラックを避け、車ごと崖から転落し、爆発炎上。直接的な死は描かれず、一係のメンバー達の悲しみで殿下の死を表現します。
そして、81年春には裕次郎氏が解離性大動脈瘤で倒れ、「生還率3%」と言われていた心臓の大手術のため、7ヶ月に渡って欠場。また、復帰したスコッチ役の沖氏も躁鬱病のため、後半は欠場。レギュラーキャストが2人もいない一係の穴を埋めるべく、ジーパン編から長くセミレギュラーを務める平田昭彦氏演じる「西山署長」や、ボン編からのセミレギュラーで七曲署派出所勤務の横谷雄二氏演じる「吉野巡査」がピンチヒッターで度々一係の捜査に合流。番組始まって以来の緊急事態に、ボスの代わりを果たした露口氏は、後に「フィクションに現実が入って来て、精神的に非常に辛かった」と語っていました。
この時期の脚本は、ボスとスコッチの欠場という「現実」を組み込むべく、おそらく予定していた話とは違った形になった回も少なくなく、全体的にちょっとパワーダウンしてきたかなという印象。
その中で印象に残っているエピソード、第365話「その一瞬…!」。ボンの殉職がまだ頭から離れないゴリさんは、自分が凶弾に倒れる夢を見ます。この夢のシーンだけでも結構ショック。そして、気力も体力も一係ナンバーワンを誇るゴリさんが一瞬躊躇した隙に、追い詰めた犯人に逃げられます。その躊躇いは、ゴリさんが初めて感じた「死の恐怖」。ボスに「自分は逃げたんです…自分は命を惜しみました!マカロニ、ジーパン、テキサス、そして今度はボンが…凶悪犯と果敢に戦って死にました。なのに自分は…命を惜しんで犯人を逃がしてしまって…」と号泣するゴリさん。それに対し、ボスは「違う!殉職したオレの部下達はホシを挙げるために死んだんじゃない。結果的に”犠牲”になっただけだ。”犠牲”と”犬死”ではまるで意味が違う。むしろオレは、命を惜しんでもらいたい…これ以上、殉職者は出したくない…」と、改めて命の尊さを説きます。天涯孤独の身で、部下達を家族の様に思っているボスの、「遺族」としての辛い思い。ここまでの長年の積み重ねがあってこその説得力。グッときます。
第402話「島刑事よ、やすらかに」。何者かに徹底して狙われる殿下は、自分にカメラが向けられている事に気付く。一方、犯人達の隠れ家には「島刑事よ、やすらかに」という看板が。日本鋼管(現JFEスチール)川崎工場を借り切っての大掛かりなアクションは、殉職シーンであっさり散った殿下の、事実上最後の大アクション回。僕は殿下とゴリさんの今で言う「バディモノ」が好きだったんですが、この回はゴリさんよりスコッチの方が出番が多かった印象。ゴリさんの殿下への想いは、後日譚の第425話「愛の詩ー島刑事に捧ぐ」で語られます。
第452話「山さんがボスを撃つ!?」と第453話「俺を撃て!山さん」の前後編。かつてボスに逮捕された男が山さんの息子「隆」を誘拐。隆くん解放の条件は、山さんがボスを撃つ事。なんとか隆くんは取り戻したものの、犯人はそれを見越して街中に爆弾を仕掛けており、更にボスを撃てと山さんに要求。普段は滅多に拳銃を使わない山さんとボスの厚い信頼関係と、上司を撃つという異色作は、視聴者からの投稿プロットを採用。このエピソードのおよそ1ヵ月後にスコッチ、ボス共に欠場。
ボスの長期不在に不安を抱いた本庁から、新任の係長を着任させようとする第471話「山さんに任せろ!」や、マカロニ編からのセミレギュラーである元城北署警部「鮫島勘五郎」役の藤岡琢也氏が盛り上げ役に買って出た第472話「鮫やんの大暴走」、第475話「さらば!スニーカー」では、裕次郎氏不在のため、「殉職」ではなく「退職」という形で一係を去る事になったスニーカーなど、「現実」が「物語」の中に食い込んでくるこの時期は、見ている方も「役者が病気」という事を知っているので、少し痛々しかったなぁ。第489話「帰って来たボス-クリスマスプレゼント-」でようやく裕次郎氏が復帰した際には、ゲストの宍戸錠氏と長門裕之氏が友情出演し、退職したスニーカーも一係に顔を出し、後任のラガーと顔を合わせつつも、未だにスコッチは復帰ならず。スニーカーの「これで滝さんがいたら最高なんですけどね」というセリフで「現実」に引き戻される、僕にとっては最も印象が薄い時期なのでした。
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